月次作業

月次作業とは法人又は個人事業者の月次ごとの取引を帳簿に記録する作業のことをいいます
これは会計事務所にとって定期的な仕事であり大切なルーチンワークと言える業務になります

記帳の代行

  • 月次作業の基本は記帳代行という作業となります
    顧問先より通帳のコピーや領収書、請求書といった資料を受け取りその証票を元に会計ソフトなどで帳簿を付けていく作業になります
    なお、この作業には当然ですが会計ソフトの扱い方はもちろんのこと、複式簿記の知識も必須となります

    通常法人や個人事業者の会計期間は短縮や変更といった例外を除けば12か月です
    つまり月次作業は12か月行う必要があるということです

    なお、決算修正においてはそれは13番目の月次作業と言えるかもしれません

    ちなみに月次作業と聞くと毎月毎月の作業と思われがちですが、実際には2月ごと、または3月毎といった場合もあります
    中には決算の時にだけ1年分の取引を記録するといったケースもあるかもしれませんが、個人的には1年間に一回決算の時だけ記帳というのは如何なものかと思っています
    その理由として、例えば通帳に取引内容が不明の記載があったとして、その内容を顧客に確認してもかなり前のことで顧客が覚えていないケースがかなりあるからです

    通帳に何かしらの入金があるがその内容が分からない
    支出も同じことです
    そういった問題はある程度回避できる問題ですので、やはり月次作業は最低でも3か4か月ごとには行いたいものです

資料の受け取り

  • 事務所の方針によって顧問先に伺うか、または事務所に来社するかは自由ですが、そこで月次の資料を受け散ることになります

    資料とは通帳のコピーや売上や仕入れなどの請求書や領収書の類です
    これらの資料を受け取るわけですが、できればそこで不足資料が無いか確認をすべきだと思います
    例えば通帳のコピーが抜けているとかそういうことです
    これらの資料の不足は会計ソフトで帳簿を付ける際に気付くことですが、それで残高資産表を作成しても当然正確な月の損益を表示しているとはいえなくなるわけです

    あと他にはイレギュラー的な取引
    固定資産の売却や購入などといったケースです
    特に車両などの売買は意外に多いと思います
    そういった固定資産の売買の契約書などの資料もしっかりと受け取りましょう

    他にイレギュラー的な取引と言えばリースをしたり銀行から新しく借入金を借りたりといった具合です
    これらの資料を不足なく受け取ることから月次の作業は始まるのです

会計ソフトへの入力

  • この会計ソフトへの入力がいわば記帳代行です

    ちなみに会計ソフトといってもいろいろあります
    例えば弥生会計、ミロク、エプソムといった具合です
    これらの会計ソフトに、預かった資料を元にして会計データを入力していくわけです

    その記帳の際になんの支出なのか、何の利益なのか、過去のデータを遡っても分からない取引が出てくると思います
    それらの取引は付箋を貼っておくなり仮払金に計上するなりし、さらに別にまとめておいて次に顧客に会う際に聞けるようにしておきましょう

    そして全ての取引を記帳し終えたら次は残高試算表の確認です

残高試算表の確認

  • 全ての取引を記帳し終えたら残高試算表を確認しましょう
    前期との比較表も出しておきましょう
    そこで取引の記帳に漏れが無いか、おかしなところが無いか確認するわけです

    当然ですが現金出納帳や通帳の残高と金額が違うといったことはご法度です
    もしも残高が違っていたらその原因を突き止め修正しましょう

    他にも請求書などから売上や仕入れ、そして賃金台帳から給与の確認などをし、問題が無ければそれでOKです
    気が付いた点などを不明点と共にまとめておいて、残高試算表を打ち出し、次の月次訪問に備えましょう

顧問先への報告

  • 残高試算表を打ち出し不明点などをまとめたら顧問先への報告です
    実質これは最初の資料の受け取りと同じときに行います

    それで顧問先への報告ですが事前に話したいことは決めておく方がよろしいでしょう
    そして先に結論から話すべきです
    いわゆる利益がいくら出たのかという具合にです
    顧問先が何より知りたがっているのはいくら儲かったかですので、最初にそれをズバリ言う方が効率的です
    そしてその原因を説明するわけです
    もちろんその際に不明点の確認作業も忘れずに行いましょう

    ちなみに話すときはオドオドせず相手の目を見てゆっくりとしたテンポで話しましょう
    要は落ち着いて話すということです
    そして強調するところはしっかりと強調しましょう

    そしてこれが実は重要なことなのですが、話すときは相手の知識に合わせることが重要です
    話す相手が経理担当ならともかく、経営者なら税務や簿記に関して全く素人なのも珍しくありません
    そこで私たちが会計職員同士で話すような専門用語を交えて話したところでうまく伝わらないのです
    出来うる限り簡単に説明することを心がけるようにしましょう

まとめ

  • 上記が大体月次作業の流れです

    先も書きましたが月次作業は会計事務所にとって大切なルーチンワークとなります
    これがあるから毎月毎月の顧問料が発生するわけです

    そして月次作業を行うにあたり注意する点が特に2つあります
    1つは不明点の早期解消
    会計ソフトへの入力の際に、通帳などを見ていくとたまに何の入金なのか、又は何の支払なのか前期などの入力データを見ても不明なものが出てきます
    その中身に対しては他にも書いている通り早期に内容を確認すべきです

    決算の際にどうせ確認するからとほかっておく事務所もあるそうですが、決算時に顧客に聞いても覚えておらず分からないということがよくあります
    不明点は早期に確認をとった方がいいでしょう

    それともう一つは資料の保管を徹底すべきです
    通帳のコピーや他にもう売上や仕入れなどの証憑は確実にコピーして保管しておくようにしましょう
    実際ほとんどの事務所では月次資料としてファイルに綴じていると思います
    基本的なことですが大切なことですので忘れずにしっかりやりましょう