その他の作業

ここでは月次作業、申告作業の他に会計事務所職員の仕事を紹介したいと思います

年末調整

  • 年末調整はサラリーマン限定で行われる手続きで、年末において税金の調整が行われるため年末調整と呼ばれています

    そもそもなぜ年末調整なるものが存在するのか

    通常月ごとに源泉徴収されている従業員の所得税はあくまでも概算です
    これに社会保険、生命保険、住宅ローンなどを考慮する必要があるのです
    そして正しく所得税の金額を算出するのです

    本当なら従業員一人一人が確定申告をするのが良いのですが、日本ではサラリーマン限定で源泉徴収義務者である企業が年末調整を行うことを法制化しています

    そして企業の規模は千差万別です
    数人規模の企業もあれば数百人規模の企業もあります

    年末調整の作業自体は一人一人は大したことはありませんが、数百人もなると全体としてボリュームはかなりのものです
    年末(12月)は会計事務所の職員として大忙しになるでしょう

年末調整の流れ

  • 年末調整は大体以下の形で進みます

    • 必要書類の配布
    • 必要書類の回収
    • 初期データや家族情報の登録
    • 社会保険及び生命保険のデータ入力
    • 住宅ローンのデータ入力
    • 給与データの登録
    • 年末調整のの計算
    • 各人への連絡及び源泉徴収票の交付
    • 納付書の作成
  • 以上です
    意外に多いような気もしますが、先にも書いた通り一人一人のボリューム自体は大したことありません
    ただこれが全体では数百人にものぼるケースがあるため作業としてはかなりの量になるということです

必要書類の配布及び回収

  • 年末調整の際に顧客から受け取る書類は以下の3つです

    • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
    • 給与所得者の保険料控除申告書
    • 給与所得者の配偶者控除等申告書
    上記の書類に記載してもらい書類を受け取るわけです
    書類の中身は以下の通りです
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書

  • 給与所得者の配偶者控除等申告書
  • 与所得者の扶養控除等(異動)申告書は市町村名や会社名、自分の名前や生年月日などを記入して印鑑を押して提出します。
    あと源泉控除対象配偶者や控除対象扶養家族も記入します
    扶養親族とは70歳以上の老人扶養親族、大学生や高校生、ほか障害者、寡婦なども含まれます
    16歳未満の扶養親族は控除対象ではありませんが住民税において計算の対象になるため忘れずに記載しましょう
  • 給与所得者の保険料控除申告書には生命保険、地震保険、社会保険の保険料や、小規模企業共済等掛金など各種保険料に関する情報を記入します
    ちなみに毎月の給与から控除されている健康保険料や介護保険料は記入する必要はありません
  • 配偶者控除等申告書は、配偶者控除又は配偶者特別控除を受ける場合に提出が必要です
    納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合に適用ができ、配偶者の給与収入が123万円までであれば配偶者特別控除を受けることができます
  • さらに以下の書類も控除のために受け取るべき書類です

  • 生命保険料控除証明のハガキ
  • 地震保険料控除証明のハガキ
  • 個人型の確定拠出年金の掛け金を証明書類
  • 国民年金、国民健康保険など、社会保険料を証明書類
  • 配偶者特別控除に必要な源泉徴収票などの証明書
  • 住宅ローン控除に必要な住宅借入金等特別控除申告書及び借入金の年末残高等証明書などの書類
  • 上記の書類は控除を受けるために必要な書類であり人によっては生命保険に入っていないなど無い場合もあります
    これらの書類を過不足なく受け取ることが必要です
    11月中には上記の書類を受け取ることができればと思います

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基本データの登録

  • ここでは給与計算ソフトを前提に書きたいと思います

    提出された扶養控除申告書を元に住所、氏名、生年月日、扶養家族などのデータをソフトに入力します

    通常給与計算ソフトは繰越という機能が付いていて昨年度のデータを引き続き使うことができますので新規の顧客でもなければ基本データの入力にはそれほど時間はかかりません
    ただし結婚や離婚、引っ越しや子供が生まれた場合などデータに変更のある人も少なからずいるのでしっかりと確認しましょう

    なおここで配偶者の所得金額を登録することにより配偶者特別控除額も決まります

保険料、住宅ローンなどのデータ登録

  • ここで顧客から地震保険や生命保険などの控除証明書を受け取ってると思います
    その内容を確認しつつ給与計算ソフトにその内容を登録します

    これにより社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除を確定します
  • さらに住宅ローン控除の適用を受ける場合には金融機関から送られてくる住宅ローンの年末残高証明書、及び住宅取得特別申告書の数値をもとに控除額を計算して登録します

    住宅ローン控除は所得から引かれる所得控除ではなく税金からそのまま引かれる税額控除です
    ゆえに控除金額もそれなりでほぼ9割がた還付になりますのでミスなく登録しましょう


給与の支給額データの登録

  • その年の1月から12月までの給与及び賞与の金額を登録します

    その年全ての給与のデータを一括して登録するのは大変な作業ですので、新規の顧客で12月に全てのデータを頂く場合を除いて、通常は面倒でも毎月毎月給与のデータを頂いたら登録することにしましょう
    そうすれば12月の給与データの登録は12月分支給の給与及び賞与の金額を登録するだけで事が済みます

    しかしその際に給与の締日には気を配りましょう
    20日締め25日払いなどが多いと思いますので、特に12月の給与のデータは出来る限り早めに頂くようにしましょう

年末調整計算

  • 全ての給与のデータそして保険料や住宅ローンなどの控除項目を登録したら次はいよいよ年末調整の計算です

    ……ですが、それほど気に病む必要はありません

    年末調整は給与計算のソフトがほぼやってくれますので、中身としてはむしろチェックに追われると思います
    住所や名前、給与や保険料の金額などをチェックするわけです
    そこに間違いが無ければ先にも書いた通りコンピューターが計算自体はやってくれますのでそれほど心配はいりません

    ちなみに年末調整の計算はコンピューター上の源泉徴収簿で行うと思います
    チェックの際はこの源泉徴収簿を打ち出してチェックするのがいいでしょう


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関与先への連絡、納付書の作成、源泉徴収票の作成

  • 年末調整の計算が終了したら顧客にその結果を報告します
    現金で給料が支給される場合はぎりぎりでもいいですが、振り込みで給料が支給される場合はそれなりの余裕を持って報告するようにしましょう

    そして次は納付書(徴収高計算書)の作成です
    源泉を毎月納付している企業は12月分、納期の特例の適用を受けている企業は7月から12月までの源泉税を納付します

    そして最後は源泉徴収票を各人別に交付します
    これにて年末調整の作業は終了します

法定調書の作成

  • 1月に行われる会計事務所の3つの仕事、法定調書合計表、償却資産申告書、給与支払報告書の1つ、法定調書の作成について説明します

    法定調書とは一言で言えば反面調査のために用いられる資料です
    取引における費用と収入について支払資料の作成を企業や個人事業者に求めるものであり、それを税務署に集計表として提出するのが法定調書合計表なわけです

    提出期限は1月31日
    法定調書合計表には給与所得の源泉徴収票や報酬、不動産などの支払調書などを添付する必要があります

    ただし、給料などは役員は年収150万円超、一般社員は年収500万円超などであり全員の源泉徴収票を添付する必要はありません
    不動産などの支払調書も同様です

    詳しい内容は下記のサイトをご覧ください

    法定調書の提出義務者

償却資産の申告

  • 償却資産税とは1月1日に法人や個人事業者が所有する土地や家屋、自動車車両以外の固定資産に係る固定資産税の一種で地方税の属するものです

    固定資産税は賦課課税方式で課税権者が一方的に通知してくるものですが、償却資産税においては所有資産の申告を義務付けています
    その意味で珍しい方式だと思います

    提出期限は1月31日
    よく起きるミスとしては新しく購入した固定資産について申告をし忘れることです

    それに一般に中小企業は30万円未満の固定資産についてはその期の費用として全額償却出来る特例がありますが償却資産にはそのような特例はありません
    基本は申告しなければいけませんが、取得価額が10万円未満や耐用年数が1年未満のもの、取得価額が20万円未満の償却資産を3年間で一括償却しているものは除きます

給与支払報告書の提出

  • 個人の給与には所得税だけでなく住民税も課税されます
    給与支払報告書とは給与の支払者が、その従業員が居住している各市町村住民税の課税を行うために提出する書類なのです

    といっても給与支払報告書の元は源泉徴収票なので年末調整の作業を行う過程でほぼ終了しています
    特に気を付けなければならないのは特別徴収と普通徴収の区切りでしょう

    名称から勘違いされやすいですが原則は特別徴収です
    特別徴収は企業が給料から住民税を徴収する制度で普通徴収は個人が自分で納税する制度です
    事業規模から特別徴収が現実的でない場合などで普通徴収が適用されます

    提出期限はこちらも1月31日です
    給与支払報告書は各市町村ごとに源泉徴収票の一番上に総括表を書いて送付します

源泉所得税

  • 源泉徴収とは給料やボーナス、他配当や報酬などについて支払う側が一定の税金を天引きして徴収して納めることを言います

    これが天引きする側の義務であり、これをしないと不納付加算税や延滞税などの罰金が原則課されることになります

    ここで問題となるのは給料や配当といったことに対する源泉ではなく、報酬や料金に課せられる源泉徴収が正しく徴収されているかというのが問題となりやすいです
    給料や配当は一般的に世間に浸透されており問題は起きにくいからです

    報酬や料金に対する源泉の対象者は少しややこしいので説明は省きますが国税庁のHPのリンクを貼っておきます
  • 報酬・料金などの源泉徴収
  • 報酬・料金の税率は100万円以下の場合は復興特別所得税が加算されて10.21%です
    つまり報酬がちょうど100万円の場合は10,210円が天引きされ89,790円が支払われることになります

    100万円を超える場合は少し複雑になり100万円までの報酬に対しては10.21%、100万円を超える部分の金額に対しては20.42%の税率が課されます
    つまり例えば200万円の報酬ですと100万円までは10,210円の源泉が引かれ、残りの100万円に対しては20,420円の税金が課されるわけです

    そしてもう一つ、余談として消費税が報酬等に課される場合、税抜き価格又は税込価格のどちらの金額に対して源泉を課すのかという問題もありますが、これはどちらの方法も認められています

毎月納付か納期の特例か

  • 源泉所得税の納付は毎月納付と納期の特例があります

    基本は給料などから天引きした源泉は翌月の10日に納付するのが原則ではありますが、給与の支給人員が常時10人未満の場合は納期の特例といって1~6月までの給与に対しては7月10日、7~12月までの給与に対しては1月20日年2回の納付で済ますことができます
    これは毎月納付しても手間がかかるだけで納付する金額自体大したことないというのが理由です

    なお納期の特例を受けるためには事前に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出しなければなりません